房総に「あるはずの無い」森林鉄道…

探索メインメニュー(全41編)

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・第一次探索[小坪井本坪井沢]
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・第二次探索[片倉ダム・笹川]
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・第三次探索[田代川支流]
[0 1 2 3 4 番外]
・第四次探索[小坪井田代川奥地]
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・第五次探索[田代川中流域]
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・第六次探索[ヅウタ隧道]
[0 1 2 番外]


森林鉄道

 森林鉄道。これは名前の通り森林に設けられた木材搬出用の産業用鉄道です。日本においては営林署が中心となって敷設した軌間762mmを標準(例外的に610mmなども存在。)とした軽便鉄道についてを指すことが多く、産業用鉄道ではあるものの、道路が未整備であった山間奥部の集落への旅客輸送も兼ねた路線も数多く存在し、生活用品の輸送も行うなど林鉄は山における重要な交通インフラでした。しかし1960年代後半~70年代になると、自動車と道路網の発展や木材資源の枯渇、安価な外国材の輸入本格化などが重なり、林鉄および国内林業は採算が取れなくなります。次第に林鉄は姿を消し、現存するのは屋久島の「安房森林軌道」のみとなってしまいました。そして現在では、全国各地の山奥に森林鉄道の遺構である橋や軌道跡が残されているほか、道路や遊歩道などに姿を変えて利用されている場所も多くあります。

房総の山奥に遺された鉄路

 上記の林鉄についての「全国各地の山奥に…遺構である橋や軌道跡が残されて…」というのはあくまで日本全体の一般論であり、私が主な探索エリアとしている千葉県、房総の山に森林鉄道はなかった、あるはずがないと考えていました。房総の山は標高があまりなく、比較的なだらかな丘陵地が中心であるほか、他県より組織だった林業が営まれてはいなかったことから、林鉄を敷く必要が無い、林鉄は敷設されたことがない、と思い込んでいたからです。(結果、房総の奥深い山川藪沢と歴史、文化をナメていたわけでしたが…)

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 林野庁が公開している、全国の1100以上の路線が記録された「国有林森林鉄道路線データ」に、千葉県内の路線の存在は記載されていないというのも根拠に、千葉における林鉄の存在は否定していました。そんなわけで、林鉄にの探索がしたいなぁと思いながらも、場所の遠さに探索実行に至るまでには二の足を踏み続けていました。しかしある日、とんでもない情報を見聞きしました。なんと…
千葉県にも、森林鉄道が存在した。
という情報です。千葉県にも、林鉄、しかも旧東京営林局千葉営林署が運用していた、国有の森林鉄道があったというのです。
 水を得た魚とはこのこと。林鉄探索に飢えていた私は数人で早速探索メンバー(なお全員有名サイト「山さ行がねが」の愛読者。)を結成、幻の鉄路を追って山へ入りました。


 また今回の記事はそのメンバーの一人である「ばか者」氏(※1)との共作リレー記事(※2)となっています。(結構長い記事なので完結まで時間がかかりますが、ご容赦ください。)

※1:今回以前にも浜行川、大沢の探索などでも同行している人物(サークル「らるりんたす」メンバー)です。
※2:当記事の【その1】以降の奇数番記事は、ばか者氏のウェブサイトに投稿されます。当ブログでは偶数記事を担当、執筆します。

探索開始

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 早朝にやってきたのは千葉駅前のバス乗り場。ここから探索の起点にほど近いところまで、高速バスの「カピーナ号」に乗車することで到着できます。
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 千葉駅から上総亀山周辺を抜けて鴨川、亀田病院へ向かうバスです。途中の蘇我駅から今回の同行者、ばか者氏らと合流。
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「君津ふるさと物産館」バス停で降車。今回乗車した便は千葉中央バスの担当便でした。
(7304号車 千葉200か 21-01 三菱ふそうエアロバス PJ-MS86JP(2006年式))
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この車両、かつてはKaNaCカラー(旧標準色)を纏い、空港リムジンバス専属のような運用をこなしていましたが、今ではトイレが無くても運行可能な中距離用車としてマルチに活躍しているようです。(写真は同じKaNaCカラーの別車両です。)
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物産館である道の駅は当然開店前。トイレだけお借りしました。
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素晴らしいことに起点の林道入り口近くにコンビニがあったのでここで食糧調達。(ミニストップのホットスナックって美味しいよね…)

それでは、いざ、参らん!

続く
(※他サイトへ飛びます。)


本記事(連載の場合全編)での参考文献など(敬称略):
・林野庁「森林鉄道建設規定」(昭和28年12月28日通達)
・林野庁「国有林森林鉄道路線データ」
・平沼義之「山さ行かねが」(http://yamaiga.com/)
本記事中(連載の場合全編)で使用した地図・航空写真:
・国土地理院 地理院地図(電子国土web)(加工は筆者によるもの)
写真:特筆事項が無いものは本記事中(連載の場合全編)全て筆者/同行者による撮影
執筆:三島 慶幸(・長沢 幸雄(ばか者))
※通常連載の最後に記載しておりますが、都合上総目次である当ページに掲載しております。